atsu-papa

2008-01-08

厳格なる証拠認定

　福岡市の飲酒運転三児死亡事故での福岡地裁が適用した判決は結局業務上過失致死傷罪にとどまっちゃったですね。３人のお子様を亡くされたご家族におかれては不服のある判決かもしれないですが、危険運転致死傷罪についてはよほどの証拠がない限り立証が難しいみたいです。
　要件となる「飲酒などの影響で正常運転が困難な状態で走行」というのも何処までが正常だったのかって事になるですよ。飲酒しても一見普通に見える酔っ払いはどうなっちゃうでしょうかね。それに「制御困難な高速走行」についても、バリバリにチューンアップしたマシンで無理な走行を繰り返したとしたらどうなっちゃうのって事にもなるです。さらに「赤信号をことさら無視した高速走行」となるとバリバリ音を立ててゆっくりと暴走する連中が大事故を起こしても「高速走行では無いから」って言う屁理屈が成り立ってて、「バリバリ音立てて警告した。」事さえ正当な反論になりかねないですよ。
　ましてや「故意」って言う点で、まさかこんなことになるとは思わなかった人はどうなるのでしょう。未必の故意にあたらないのでしょうかね。
　結局は今回の事故に関しては事故前後の運転状況や、飲酒検知結果を「酒気帯び」とした警察の判断などから危険運転致死傷罪にはあたらないって事になっちゃった。
　危険運転致死傷罪の適用については「故意」かどうかって事が大きな決め手で、実際に各地の裁判所で判例も割れてるみたいですよ。
　愛知県の４人死亡飲酒事故は高裁で危険運転致死傷罪を適用して懲役１８年を言い渡しのに、今回の福岡地裁については求刑懲役２５年に対して判決は懲役７年６ヶ月ですから、同じ酒飲んで運転して死亡事故起こしても、立ち居振る舞いで運命がぜんぜん異なることになっちゃうです。
　せっかく悪質運転に厳罰を求める被害者感情に応えて新設された危険運転致死傷罪でも適用基準があいまいだと裁判官の胸先三寸、警察、検察の力の入れようで反転しかねないですよ。
　人が人を裁く法律の基準が揺らぐって事については何がしかの改善を加える必要があるんじゃないですかね。何も被害者感情ばかりで厳罰にすることを推してる訳ではないですが、何かやるせない判決だったですよ。

22:13:00 - atsu-papa - No comments

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