atsu-papa

営業停止の激震

 APAホテルが3月から9ホテルの営業を止めるんだって。さらに田村水落設計が関与したマンションの工事も止めるらしいけど、これは不幸な話です。
 ホテル経営者やマンションのデベロッパーにしてみれば少しでも安く建てたいのは情というもの。
 構造計算ソフトは計算途中でちょっと数値をいじれば鉄筋なんかの材料がぐっと落ちてコストが下がるですよ。構造計算をする構造屋さんも意匠屋さんからの発注で仕事することが大半だから、成果として評価されるのはどれだけ材料費を落とすかですよ。それ次第で意匠屋さんの設計が採用されるかどうかが決まるから。
 工事を受注した施工業者にしても構造計算をし直せば数十万円の費用がかかるし、設計事務所との関係も悪くなりかねないから、設計図書に従って淡々と工事を進める。
 悪気もなかったし、知らなかったとはいえ、APAさんが裸の王様ですよ。
 日銭商売だし、耐震強度の話だから、「今すぐに地震がこなけりゃ、すぐに崩壊する訳じゃなし。」ってな話も心の隅じゃぁない訳じゃない。ましてや既に入ってるお客様の予約を断るのも迷惑な話なんだけど、何せ万一があれば行政の監視責任が問われる話です。3月からの営業停止は苦渋の選択ですか。「あぁ〜、掻き入れどきなのに。」
 行政からの要請を受けて工事中のマンションも工事停止したけど、こっちはむしろ助かったはず。施工業者はどのみち出来高の請求をしてくるです。たとえ、それが耐震強度不足の仕様だったとしても、その耐震補強工事は契約外の別途工事だからで、かえって止めちゃった方が被害が少ないですよ。
 返す返す気の毒ですがコストカットに何の不審も持たなかったオハチが回ってきた。むしろ田村水落設計に繰り返し依頼してるみたいだから「なかなか安ぅて、ういやつじゃ。」って処でしょう。
 まったく不幸な話ですが、この手のコスト最優先は昨日今日始まった話でもないですよ。いわゆる経営コンサルタントと呼ばれる人たちが1970年代にコスト優先の考え方を持ち込んじゃったじゃった。もともといろんなご縁で組織されたゼネコンや工務店の建設協力会なんかはその風潮の中で再編されたですよ。
 下請けにしたって、そりゃぁ被害が我が身に飛び火しないように、ただ淡々と仕事するです。ここもまた、お金くれる人がクライアントであってユーザーや最終消費者はそっちのけですよ。正義感出して、多少は高くてもよい仕事をしようなんて考えると、業界の藻屑と消えるですよ。

atsu-papaの投稿(08:02:00-2007-02-06) - カテゴリ: Main

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